溝口水晶の憂鬱

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「多分ね。刹那的なものほど美しいって知っていたのかな」  よく理解できなかった。 「あと、まだ発表になっていない情報だけど、衝撃的なことにね。あっ、まだこれ内緒ね。自殺した三人は、全てタイプは違えども青色のジャケットを着ていたの。疑わないわけには……いかないわよね」  語尾が上がっている。こっちの答えには一切の迷いはないようだ。  僕は考える時、天井を見つめる癖がある。二列の蛍光灯を平行に並べたそれは、思いの外、高い気がしていた。  腕を組んで頬の内側の肉を甘噛みしていると、「人工的に感じない?」葉山が口にした。 「人工的って……人が何らかを仕組んだってニュアンスですか?」 「そう、だって後追い自殺って……定義付は難しいけど、なんかこうパッションって言うか、言葉の選択は間違っていると思うけど、そうね、情緒的って言うか、感情的なものでしょう。今回、私には何だろう、手巻き時計の中のような精密さが感じ取られるの。まあ、先に言っとくけど理由はわからないけどね」  僕は、――はいはい調べますよと、心の中で呟いた。勿論、言葉もそう、態度にも出さない。この4年間で学んだことである。
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