溝口水晶の人となり

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溝口水晶の人となり

 後追い自殺した二人は、君野二葉より一つ下の学年で双子の姉妹であった。  まず、最初に姉の方が千鳥ヶ淵のお堀から引き上げられた。  緑道を囲むように斜めに生え揃った桜の枝を数本ばかり折って、石垣の袂にシャクナゲの花の如く髪を広げ浮いていたという――。  それから3日後、今度は妹がそこから100m程離れた通りで発見された。  商業施設のビルの7階から飛び降りたという。普段は賑やかな通りであったが、丁度、その夜は東京に大雨警報が出されていて、殆ど人通りも無く、また第一発見者によると、飛び散ったはずの体液や脳漿、アスファルトに張り付く血痕などが激しい雨に叩かることで綺麗に洗われていて、始めはその着ていた服装から、少し大きめの青い傘が落ちていると思ったと話す。  さらにデスクが言うには、警察が任意で調べた結果、二人の部屋にあったパソコンからは無数の君野二葉の写真が見つかったらしい。  また、彼女らは頻繁にどこかのURLにアクセスしていたようだが、自殺の可能性が高いということもあり、個人情報保護の観点から詳しくは調べられなかったという。  但し、警察の調べに於いても二人が君野二葉に崇拝に近い感情を持っていたという多くの証言があるようで、捜査はやはりその線で進められたみたいだ。  特に、同じクラスで仲の良かった数人の証言には、双子の行動に対して、理解できる、予想出来た、やっぱり等の言葉が並んだというからそうなのだろう。
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