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溝口水晶の衝撃(2度も誘拐監禁された少女)
その日は衝撃的な事実が判明した。それは、いつものように葉山の電話からだった。
「スイショウ 起きている?」
女子高生の連続自殺のことが頭に居座って、上手く眠れない日々が続いていた僕は、その日も夢と現実との間で携帯を取っていた。
多分、まだ明け方だったように思う。
声だけで誰だか分かっていたけど、やはり分からない振りをして何度も曖昧な返事を繰り返した。その後の、いくつかのやり取りはよくは覚えていない。ただ、ある質問から意識は水風呂にでも入ったかのように生き返っていったのだった。
「……ねぇ、7年前に起こった烏丸少将連続誘拐殺人事件って覚えている?」
はじめは暫く記憶を辿るように、明かりが入り始めた天井を見回した。徐々に思考が形となっていく。
枕元のミネラルウォーターを喉に流し込んだ頃には、その事件について当時、大学生だった僕はその異常性に眉を顰めたのを思い出していた。
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