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一体どこから持ち出してきたのか、男が部屋まで持ってきた服を広げてみる。少し丈の長い、けれど一目で仕立てがよいとわかる、白のワンピース。元々着ていた服は「すっかりぼろぼろになっていましたので」と取り上げられてしまったので、他に着られるものもなかった。
合わせて渡された下着を身につけ、手早くワンピースを纏ったところで、扉が軽く叩かれた。反射的に、サイドテーブルに置かれたナイフを手に取り、その先端を扉に向ける。
「どうぞ」
鋭く声をかけると、男が入ってきた。そして、ナイフの切っ先を向けるコルネリアを高い位置から見下ろして、
「お似合いですよ、フロイライン。夜霧の中になお気高く咲き誇る、夜光花のごとき美しさです」
喜んでよいのかさっぱりわからない、見当違いの賞賛の言葉を降らせてくる。
「……それはどうも」
「お話は、食事をしながらでもよろしいかと思いまして。大したものではありませんが、よろしければご賞味ください」
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