3話 神様の仕事

2/8
762人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ
 さらりと告げられて赤面する。 「人間が、お嫌いなのでは…」 「嫌いだ。だが、お前は昨日言ったな。今までの嫁達とは違うのだと」  昨日のやり取りが蘇る。  泣いて、感情をぶつけて、そのまま気を失って…  思い出しながら真っ赤になったあと、急速に青ざめる。 「おれ、すごい迷惑を…!ごめんなさ…」  起き上がって土下座しようとする咲真を前足で倒し、狼神が上にのる。 「謝るな」  キバを剥いてきつく眦を吊り上げて見据えられ、ビクっと体が硬直する。 「人間は信用ならない。だが、お前は違うというのなら――傍におく」  咲真は驚いて目を見開いたまま狼神の顔を見つめた。 「ここにいたいのだろう?」 「はい――…」  自然と迷いない返事が出た。 (傍におくって…いてもいいって…ほんと?)  じわりと嬉しさが広がり、涙がにじむ。 「ありがとうございます…おれ、頑張ります」  嬉しい、嬉しい。一層役に立てるように頑張ろう。  そう思った時、咲真はふと我に返った。 「今、何時なんでしょうか?おれ、朝の支度をしないと…!」 「今日から屋敷のことはしなくていい」 「えっ?」
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!