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「神様の加護があったから、俺は今、生きてます。それに、信用ならない俺をお傍においてくれています」
真っ直ぐ、狼神の顔をみつめた。
何代にもわたっての冒涜。神様を利用し続ける村人で、人間のおれは信じてもらえるはずがないのに。
ここに居てよいと言ってくださった。
優しくないはずがない。愚かであるはずがない。そう思い、咲真は無意識に涙があふれた。
拭おうとした手を狼神の鼻に、ぐいとどけられる。
「また、泣くのか。お前は」
「す、すみません、勝手に…ひゃっ」
咲真は狼の巨体に押し倒された状態になり、べろりと大きな舌で涙を拭われた。
そのまま舌は首筋を伝う。
「あっあの…んんっ…」
くすぐるように肌を舐られて、妙な声が漏れ出してしまった。
無遠慮に顔や首元を舐めまわされた為か、着物が乱れて咲真の胸元の肌が晒される。
「白いな」
その言葉にかっと顔が熱くなる。すぐに着物の襟を正そうとするが、その手を止められた。
真っ白な咲真の肌が、青い瞳にじっと見つめられている。
「み、見ないでください…っ」
「なぜだ」
「なっなぜって……恥ずかしいです…」
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