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咲真の肌は日にさらされても赤くなるだけで、すぐに真っ白な肌に戻ってしまう。
村にいた頃からの食事量の少なさもあって、いつまで経っても女のようなか弱い体が恥ずかしかった。
組み敷かれた状態から動けず真っ赤になっていると、狼神の顔が再び近づき、咲真の耳元に舌が絡んだ。
「ひゃっあっ…!」
まるで美味しいものでも味わうかのように、じわじわと耳から首元を舌で舐られる。
「んっ…ふっ…」
くすぐったさと恥ずかしさでくぐもった声が出てしまった。
(なんか、ヘンだ。俺の体。どうしよう…!)
胸元に舌が下りてきて、むず痒い感覚に身をよじる。
狼神の目が怖い。このまま、食べられてしまいそうな――
「だっだめ…」
思わず狼神の体を押しやったその時、西日が狼神と咲真を照らした。
洞穴の外を見ると、雨はもうあがっていた。
狼神はのそりと咲真の上から体を起こした。
「帰る」
「は、はいっ…」
咲真を背に乗せ、狼神は山道を登る。
なぜ咲真にあんな昔話をしてしまったのか。狼神は山の中を駆けながら考えていた。
そして咲真の白い肌を思い出す。あの肌を、もっと暴いてみたいと…
(あの時私は、何をしようとした?)
咲真に対する自分の行動の理由がわからず、ブルルとかぶりを振って狼神は走る足を早めた。
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