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「ごめんなさい。これ、俺なんかが触れてはいけないものだった?」
「違います!こんな雑務、おやりにならなくていいんですってば。僕らが神様に怒られちゃいますよ」
そう言うと蘭丸は大慌てで咲真から食器を取り上げてしまう。
「でも今日は狼神様のお手伝いはないし、何もしないのは落ち着かなくて…」
「でしたら、神様のお傍にいるべきです。お部屋にいらっしゃるのでしょう?」
「何言ってるの。せっかくのお休みの時間を俺なんかがいたら迷惑だろ」
「そんなことございません!神様もお待ちですよ絶対」
「いやそれは…」
「絶対の絶対です!もーおふたりともご夫婦なんですから!」
“夫婦”という言葉にかあっと真っ赤になってしまう。
あれ以来恐れ多くも床を共にしているが、咲真は困っていた。
毎夜、毎朝の狼神の戯れに粗相をしてしまいそうになるのだ。
(昨晩だって…)
「何をしてる、来い」
「はい、失礼します…」
狼神に急かされおずおずと同じ布団に入る。
同衾はもう何度目にもなるが、神の傍で眠ることに慣れることはなく、緊張で体を硬くしてしまう。
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