5話 体の熱と慰め

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「ごめんなさい。これ、俺なんかが触れてはいけないものだった?」 「違います!こんな雑務、おやりにならなくていいんですってば。僕らが神様に怒られちゃいますよ」  そう言うと蘭丸は大慌てで咲真から食器を取り上げてしまう。 「でも今日は狼神様のお手伝いはないし、何もしないのは落ち着かなくて…」 「でしたら、神様のお傍にいるべきです。お部屋にいらっしゃるのでしょう?」 「何言ってるの。せっかくのお休みの時間を俺なんかがいたら迷惑だろ」 「そんなことございません!神様もお待ちですよ絶対」 「いやそれは…」 「絶対の絶対です!もーおふたりともご夫婦なんですから!」  “夫婦”という言葉にかあっと真っ赤になってしまう。  あれ以来恐れ多くも床を共にしているが、咲真は困っていた。  毎夜、毎朝の狼神の戯れに粗相をしてしまいそうになるのだ。 (昨晩だって…) 「何をしてる、来い」 「はい、失礼します…」  狼神に急かされおずおずと同じ布団に入る。  同衾はもう何度目にもなるが、神の傍で眠ることに慣れることはなく、緊張で体を硬くしてしまう。
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