プロローグ

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プロローグ

 普遍、常識、一般論、世俗的、本来。あらゆる言葉で表現される、この世における〈普通〉。それは当然のものであり、一種の暗黙の了解ともとれる。  我々がそれを信教し始めたのはいつからか、既に思い出すことは難しい。作られた枠の中にラッシュアワーのごとく押し込められることが安心の象徴で、むしろそのむさ苦しさの中にいなければ落ち着かないほどだ。  〈普通こそ至高〉誰もが口に出さず、誰もが思っている真実。それが覆される時、我々は足元から崩れ落ちることだろう。そうして立ち上がることができなくなるのが我々だ。人間が脆く弱い生き物だと、現代に存在する我々は理解していない。  我々が我々を理解したその時、この世界における普通〈以外のもの〉の存在も同時に認知することとなる。
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