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今日は彼女が手料理を振る舞ってくれるということで、彼女の家に訪れている。
僕の部屋とは違う女の子らしい家具や香りにどぎまぎしながら、料理の完成を待っている。
なんでも彼女は最近、料理にはまっているそう。テレビの料理番組を手本にしていると言っていた。
「お待たせー!」
水色のエプロンを身に付けた彼女がお盆にサンドイッチを載せて現れた。
「サンドイッチ? お洒落だね」
「うふふ。いいでしょ?」
真っ赤なトマト、みずみずしいレタス、タマゴサラダ……様々な色合いのソースや具が挟まっていた。
「これ、めっちゃ美味しい! ゆーちゃんは天才だね!」
僕はサンドイッチを掲げて、彼女に笑いかけた。
「そう?」
「パンが特にいい! ふわっとしてて、美味しい!」
「それ、市販のパンだよ」
「……そっかー。でも、この挟んであるタマゴサラダも美味しーね!」
「それは、市販の卵を調理したんだよ」
「……このチキンも美味しい! 照り焼きソースがたまらない!!」
「あぁ、それも市販の鶏肉を焼いて味付けしたの」
彼女の中で「市販」という言葉が流行っているのだろうか?
首を傾げた僕の耳にテレビから声が聞こえた。
「はーい! 本日は肉じゃがを作りましょう 材料は市販のお肉、それから市販のジャガイモ、人参、玉ねぎです……」
犯人はこれか……。
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