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そういえば、森のどこにあるかを聞いていなかった。お母さんは歩いていればわかると言ってたけど……。今日は天気も良く、歩いていて気持ちいい。しばらく歩いていると、看板が現れた。「魔女のお菓子屋さんはこちら」そうか、これを見ながら歩いていけばいいんだ! 僕はその看板の通りにくねくね曲がった森の道を歩いて行った。
そうすると、ぽつん、と1軒のおうちがあった。レンガでできていて、僕はおとぎ話に出てきたお菓子のおうちを思い出したけど、多分このおうちは食べられないな、と思った。ドアには「かいてんちゅう」と書かれたプレートが下がっている。
勢いよくドアを開けると、真っ白なお部屋に沢山の子どもがいた。ぼくと同じ学校の人もいたし、中には同じクラスの人もいた。
「いらっしゃい」
カウンターの中にいるきれいな女の人が僕に話しかけてきた。長い髪に長いスカート。ぼくはおとぎ話に出てくる魔女を思い出した。けど、この魔女さんは優しそうに笑っていて、ぼくをかまどで煮込んで食べる、悪い魔女には思えなかった。
「ここは初めてよね? こっちへいらっしゃい。好きなものを作ってあげる」
呼ばれるまま、ぼくはカウンターの席に座った。
カウンターの向こうの壁にはメニューがあった。「星空ゼリー」、「海の水あめ」……不思議な名前のメニューがづらづらと並んでいた。
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