夏の思い出の片隅に

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夏の思い出の片隅に

「あの雲がアイスクリームだったらなぁ」  あまりの暑さにぼくは思わず呟いていた。今日も暑くて、冷たいアイスが食べたくて仕方なかった。けど、1番近いコンビニまで10分近く歩きたくないぼくは、ごろんとソファに寝転んだ。 「もしそう思うなら、森のお菓子屋さんの所に行ってみたら?」 「森のお菓子屋さん?」  お母さんの一言にぼくは首を傾げた。そんな話、聞いたことないぞ? 「そう。魔法を使えるお姉さんがやってる、お菓子屋さんよ。不思議なお菓子を作ってくれるの。きっとあなたのお願いも聞いてくれるわ」 「わかった! 行ってみる! そのお店、どこにあるの?」  面白そう。せっかくの夏休みだし、行ってみたい! ぼくはソファから飛び起きた。 「うちからちょっと歩いた森の中よ。お母さんは忙しいから1人でいってらっしゃい。気をつけてね」  ぼくはお母さんに貰ったお小遣いを握りしめて家を出た。
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