不思議なレストラン

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 一番手前のテーブルの端に、番号が書かれたプレートが貼ってある。 『壱』  そのテーブルにはクールそうな切れ長の目をした男性が座っていた。  男と目が合うと、ふりふりと手を振ってくる。クールなのやら、おちゃらけてるのやら……。 「行ってらっさい、頑張って」  ……何者だ。  そっと、次のテーブルへ歩を進める。 『弐』  思わず足を止めた。  女性が頭に眼鏡をかけた鳥を乗せている。そのままミラノ風ドリアを食べている。しかも、テーブルにはFIREBALLやらMighty jam rockなんかのグッズが。  どこでレゲエライブ観てきたのだ。いや、その格好で……。 『参』  黒髪の女の子が座っていた。黒ずくめの服を着ている。大人しくカフェオレを飲んでいた。少しホッとしたのも束の間、その子は黒髪に隠れていたイヤホンを外した。ギャンギャンと店中にロックが鳴り響く。lynchか。何もそんな音量で……。  更に進もうとすると、岡持を持った店員が横切った。 「へい、お待ち。神田神保町より餃子持って参りましたぁ」 『肆』  赤い髪をした女の子が、さも当然かのように餃子に手を伸ばす。美味しそうに餃子にパクついた。  いやいや、何でもありのサイゼリヤかよ……。女の子は平然と窓際に大量の本を立てかけ、まるで家に居るように寛いでいる。 『伍』  このテーブルには、アコギを持った女性が座っていた。やっとまともな客か。そう思ったところで、その女性が顔を上げる。  がっつり男だった。舌打ちをして、次のテーブルを探す。
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