6 決着

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6 決着

「悪魔の正体が女神さまだったってこと?」 「そう。彼女こそ、村を守っていた本当の女神だ」  ルミナは静かに語りながら、目の前の恐ろしい生き物をじっと見据えた。  リリアもおずおずと悪魔の姿を観察する。  これがかつては女神だと呼ばれていた存在だなんて信じられない。  悪魔、否、女神ルナリアだったものは、こちらを警戒しているみたいだ。  今のところ攻撃を仕掛けてくる様子はないがリリアは緊張してしまう。 「もしそれが本当なのだとしたら、ひどすぎる。元に戻せないの?」 「俺もそれを考えていた。こうなった原因は魔物たちから与えられた毒だ。でも連中は倒されたからその力で作られた毒はもう効力を失っているはず。それでなくとも、あれから何百年も過ぎているのに」  ルミナも少し困惑しているみたいだ。  彼の考えでは、ルナリアを蝕んでいた毒はもう抜けきっている。だから元の姿に戻れるはずなのに、そうなっていない。  あと一息なにかが足りないのだろうか。 「時間が経てば解決してくれるもんだと思っていた。彼女もそう考えていたから、それまでの間みんなを傷付けないように自ら封印されることを選んだのに」  一体どうすればいいのだろう、彼女を元に戻すすべがわからない。  英雄も存在しない今、このまま彼女を野放しにする以外ないのだろうか。 「俺が再び生贄になれば、また静かに眠れるのだろうか」  ルミナの言葉にリリアはぎょっとした。 「なに言ってるの!」 「あー、悪い。そうだな、お前の姉さんを巻き込むわけにはいかないし」 「そうじゃないの!」  リリアはルミナの両手をぎゅっと握る。 「そういうのは駄目! それを止める為に、私はここに来たんだから!」 「リリア」 「わ、私あなたのことあんまり好きじゃなかった。でも私たち、一緒に過ごしてきたでしょ。ちゃんと仲よくなりたかったの。だから生贄になんてならないで」  ルミナに言い聞かせたリリアは、ルナリアの方へ向き直って声を張り上げる。 「あなたが本当の女神さまだったのですね。ごめんなさい、ずっと知らなくて! わ、私であなたを封印することは」 「なんで俺と同じこと考えてるのさ」  呆れつつルミナが止めに入って来る。 「お前がそれをやるのは駄目だって。残される奴がいるだろ」 「私がいなくなって悲しむのは姉さんくらいだよ。その姉さんは、あなたに憑依されたままだし」  リリアが悲し気に首を振ると、ルミナはやはり呆れたように言った。 「お前になにかあったら俺が悲しいだろ」 「え?」 「あれだけ周りを四六時中うろつかれたら、愛着くらいわくよ。だから、この案はなし。どうするべきかちゃんと考えないと」  ルミナは少し照れているのか、視線を斜め下にやっていた。  まさか彼も、自分と同じように思っていてくれていたなんて。  想像もしていなかった言葉にリリアはちょっとだけ赤くなる。  どうすればいいのかわからないながらも、彼の言葉に小さくうんと頷いていた。
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