7 お別れ

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「ルミナ、私やっぱり寂しいよ」 「そう思ってもらえたのなら光栄だ」  リリアは胸の前できゅっと拳を握り締める。  ルミナの方もリリアと同じように、どこか切なげな様子だった。 「あのねルミナ、私は今まで愚直に女神さまを信じて来た。だからその正体があなただと知ったとき、最初はすごくがっかりしたの。でも今は、女神さまの正体があなたでよかったって思っているよ」 「本気?」 「おかげでこうして会えたんだもの。もっと色々お話して、ちゃんと友達になれたらよかったんだけど」  リリアはじっと彼を見つめた。 「これからもあなたを崇め続けていい?」 「それまじで言ってんの?」 「本気だよ。まあ、崇めるって言い方は語弊があるかな。あなたに頼るってわけじゃなくて、飽くまでも心の支えにしたいだけ」 「まあ、あの世から応援くらいならしてやってもいいよ」 「やった」  リリアはにこにこした。つられたようにルミナも笑みを深める。 「俺もお前に会えてよかった。女子は好きじゃないんだけど、お前はさほど嫌いじゃないし」  ふと、彼を包んでいた光が強くなるのに気づいた。もう時間なのだ。 「やっと眠りにつける。今なら、あいつに会えるかもな」 「天国でアレンさまと仲良くしてね」 「お前も長生きしろよ」  そう言ってルミナは最後に笑みを向けてくれた。  彼を包んでいた光はいっそう強くなり、その光が消えるのと共に彼の姿は完全に見えなくなる。 「ばいばい、ルミナ」  とうとう彼は本来あるべき場所へと行ってしまったのだ。  やはり胸がちりちりするけれど、これが正しかったのだと自分に言い聞かせる。 「う、うぅん」  小さな声がして振り返ると、リリカがゆっくりと体を起き上がらせるところだった。 「姉さん、気がついたのね」 「ここは? 儀式は、どうなったの?」  困惑している姉の体を、リリアはぎゅっと抱きしめた。 「成功したよ。色々とあったから、説明が大変だけど。街は救われたんだよ」  それからリリカにこれまで起こったことを話した。  姉に憑依した人物が、かつては生贄となって死んだ村人だったこと。  洞窟に封印されていた悪魔の正体が、本当はこの地を守ってくれていた女神さまだったこと。  悪魔は元の姿に戻り、女神ルナリアは再び人々を守護してくれることとなった。  そしてあるべき場所へと旅立っていった青年は、これからもきっとリリアを見守っていてくれることだろう。  だけどルミナが本当はどんな人だったのかは、リリアだけのひそかな思い出として胸にしまわれることとなった。 終わり。
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