さいごの法律

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 今から500年ほど後の出来事です。  格差、飢餓、争い、人種差別、自然破壊、疫病、災害がとことん酷くなってきた星がありました。  その星は地球と呼ばれていました。  その有り様に嘆き悲しんだ神様は、あらゆる代表者を呼び寄せ、ここで全世界が守るべき法律を一つ決め、それを守るという共通の行動をもって平和になるように努めなさいとおっしゃいました。 「そうしなければ、人間を地球から追い出します」  そうともおっしゃいました。  そして100日間かんかんがくがくしたあげく、まずは「隣人を愛すことだ、それが広まると地球人がお互いに愛で包まれる」  誰かがそう言って世界法律『隣人を愛す』が立法されました。  すぐさまその事は世界中に広まり、最初のうちは誰もがみな隣人に愛を与え、また、愛を受けていました。  そして平和になるかと思いましたが、利害関係でがんじがらめになっている国境は越えられませんでした。 「こんなに愛してやってるのになんで不利益を被らないといけないんだ」  そんな声があちこちから聞こえ、愛は憎しみに変わり殺し合いが始まり、五分の一の地球人が死にました。
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