さいごの法律

6/8
前へ
/9ページ
次へ
 子どもたちは大喜びしました。  念力なら見たものをそのまま目が見えない子どもに伝えることができるからです。  耳が聞こえない子どもに音を届ける事ができます。  手が使えない子どもも念力で自分で食事ができます。  脳をうまく使えない子どもも心はいたって普通でした。念力だと心どうしで会話出来るから肉体的特徴は形だけだと分かりました。  そしてお魚を海でとってきたり、山でとった山菜を、調理の上手い子どもが調理して、みんなで一緒に食べました。  二人の成人男女はみんなのパパ、みんなのママと呼ばれるようになりました。  みんなのパパはあらゆる知識を教えました。漁の仕方や畑の作り方、そして、家の作り方などです。  みんなのママはあらゆる知識を教えました。  美味しい料理の仕方や、子育ての仕方、愛についてです。  そうして大きくなった子どもたちは思春期を迎えます。  すると愛を知るようになりました。  子どもが産める愛の形を育んだ人は子どもを産みました。  中には女性どうし男性どうしの子どもが産めない愛の形もありましたが、生まれながらにして多様さが当たり前の世界で育ってきた子どもたちには、違和感など一切ありませんでした。  大切なのは肉体的特徴ではなく心であるとみんな分かっていたからです。  そして産まれた子どもはみんなで育てます。  産まれた子どもはみんなに愛を与えてくれました。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加