五重塔

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珠子は家に帰らず、五重塔のかげに潜み、皆の話を聞いていた。 心柱がどないしてもぐらつく……。 珠子は、皆が去ってとした五重塔へ、入っていった。 心柱は礎石から外されており、心柱の立てられていた礎石の穴を覗き込むと、鈍色に光る金属の板が見えた。珠子は穴に下りていき、金属の板を持ち上げてみた。板は、案外軽く持ち上がった。板の下にはやはり鈍色の、金属製の四角い箱があった。 実はこの中には舎利(釈迦の遺骨)の入ったガラス容器が収められているのだが、珠子は知る由もない。 珠子は穴を上り、あたりを見回した。視線の先に、が目に入った。 「おじいちゃん、私にゲームで勝たれへんから、いやになって、ここへ逃げてきたんやわ。せこいわ」
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