五重塔

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珠子はをポケットに入れると再び穴に下り、四角い箱の下に置いた。そして、金属板を元通りに被せた。 スキップしながら、家路を急いだ。 棟梁たちが昼休憩から戻った。 拓也は調整をするべく、再び心柱を礎石の穴に嵌めた。すると、先ほどと打って変わって、ぐらつきが止んだ。計算通りの揺れに収まってくれたのである。 「棟梁、見てくんなはれ。なんでかわからしまへんけど、うまいこといってまっせ」 「おお、ほんまやな。湿気がアレやったんかいな」 「棟梁、よかったでんな」 「よかった、よかった。これで、令和の大修理も、無事に終えられそうや」 その日の作業が終わった夕方、棟梁は、五重塔の床に這いつくばって、あるものを探していた。
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