【2000字掌編】永遠(とわ)に生きる炎

5/9
前へ
/9ページ
次へ
 それからは話が弾んで、帰途に就いたころにはすっかり打ち解けていた。  涼香と付き合いだしたのはその冬のことだった。  嬉しくて夜も眠れず、告白の言葉が脳内でエンドレスリピートしていた。  人を好きになると大切なものを得た気持ちで、勉強や部活にも熱心になった。絵が好きな涼香と休日の公園で写生をするようになり、永遠にこの時間が続けばいいと思っていた。  不意に、譲は頭が殴られたように痛くなる。  書きかけだったあの絵は、今も未完成のままだ。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加