⁂迷い

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⁂迷い

 二年生の春、ぼくは初めて団体のレギュラー入りを果たした。 団体戦のレギュラーは十人。とは言っても実際に試合に出ることができるのは一複六単で競い合うため五~六人で、ぼくは試合に出ることはできなかったがベンチ入りできるまでになっていた。 『部内のリーグ戦に強いが、対外戦には弱い。つまりは勝てない』 これがぼくに対する自他認める評価だった。 学連を含め、勝てないはずはない試合に尽く敗戦していた。 「練習でできるのになんでやろ?」 マエちゃんに愚痴る。 「きっかけやない?練習量も大切やけど、ゲームの流れを自分の方に引き込む試合運びというか、センスやない?」 「相手との駆け引き?オレ、正直もんやから少し狡さ必要かな」 マエちゃんは同級生でピンポンにかける情熱も凄いし、何より大人だ。ぼくよりずっとハイレベルな感覚がある。 ぼくが下宿を変わるときも引っ越しをバイト先の車を借りて手伝ってくれたほど面倒見もいい。  その夏の試合、高校の先輩で地元の大学に進んだ先輩とトーナメントで当たった。 結果は惨敗。試合後にアドバイスもらいに行くと 「もっと手応えあるかと思っとったのに。ボール運びが単調で脅威感がないよ」 「・・・・・」 返す言葉もなかった。
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