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トーナメントで勝ちあがっていくと、部員はギャラリーで大声をだして応援する。
ぼくらが一年生の頃の団体戦なんか得点を取るたびに『よしゃー、よし、よし、よし』の連呼だ。今では応援の連呼は禁止されてあの頃よりずっとおとなしい応援に変わった。
その大会での男子決勝戦、同級生が決勝まで進んだ。
入部したときにだっちゃんが言ってた奴だ。
全部員が観覧席に集結し応援する。
得点するたびに
「ナイスコース!もう一本!」
以前ほどでないが声援や拍手が飛ぶ。
その中で、祈るように手を合わせまさに一球一球が自分のプレーのように応援する君の姿に目を奪われた。
ぼくはといえば、言いようのない敗北感と嫉妬感みたいなものが心の中に広がっていて嫌な人間に成り下がっており、君の純粋さに惹かれていくのを感じた。
あんな風に応援される存在になりたい!心のどこかでその想いが広がっていった。
同時に、自分自身への限界というか、ピンポンに対するセンスというか、足りないものばかりを並べては悲観するぼく自身が嫌になっていた。
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