イヤリング

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 電車の窓から見える街の上には大きな灰色の雲が覆いかぶさっていた。そろそろ梅雨もあけて夏が訪れてもいい頃だったが、今年はまだまだ雨が続くらしい。  見飽きたつまらない風景から目を逸らし、ちらりと隣を見るとそわそわして落ち着かない様子の幼馴染の姿があった。巳奈(みな)は思わずため息を吐きたくなるのをぐっとこらえ、つり革を握る手に力を込めた。  このまま電車がどこにも止まらなければいいのに。普段なら思いつきもしないことだが、今日の目的が……いわゆる合コンだという事実に、巳奈はそう願わずにはいられなかった。
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