始まりの刻

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始まりの刻

“まだ行ける……”  僕は必死に耐えていた。一つ一つ確実に、そして達成したときの高揚感を味わうために。  いつもより調子が良くてさ、進む速度も速い時って、少し先のゴールも、もしかしたらもっと早く着くんじゃないかって……思うよね。  だからちょっとやそっとの事じゃへこたれない。一瞬落っこちそうになってもしっかりと立て直し、また“それ”と向き合うんだ。  自分のしたい事なら尚更。何度止まっても、気を改めてやりだせば、しばらくは大丈夫でしょ? “え?そんなことないって?”  確かに、自分に嘘はついちゃいけない。正直になった方がいいとは思う……。体と心がバラバラじゃ疲れちゃうから。それに正直になった方が楽だよ。確かに楽。  苦痛どころか至福を感じるからね。  でも、それじゃ意味ないんだ。頑張るっている意味が……。  絶対行けるって思うから、耐えるんだ。崩れ落ちそうになる自分を、何度もとり戻してさ……。  だから、もう少し……お願いだから……ゴールまでは……。  
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