祖母の初盆

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「おばあちゃんと、お話したいー!!」 少し離れた場所から、子どもの泣き声が聞こえてくる。 「もう無理って、言ってるでしょう!?」 そして、それを叱る母親の声も。 「イヤだ!」 「ワガママ言わないの!」 親子のほうを見ると、お墓の前に子どもがしゃがみこんでいた。真夏の太陽に照らされた地面は、相当熱いだろうに。母親に腕を引かれても、子どもは身動きひとつしない。 「だって! 僕だけ、おばあちゃんと最期の挨拶できなかったもん!!」 嫌だ、嫌だと泣きじゃくる子どもの言葉と声が。わたしの胸をギリギリと締めつける。おばあちゃんと、最期の挨拶。 (わたし……ちゃんと、できたかな?) わたしは最期の日に、祖母と会うことが出来た。だけど、意識の無い祖母にどんな言葉をかけていいのか分からず、何も言えなかった。 「エリ。靴のかかと、踏まないの! お墓の前でしょ。礼儀正しくしなさい」 母親の怒る声に、古い記憶が蘇る。
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