何でもかんでも、あと5分かよ

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「あと5分かぁー」  陽介は教室の時計を見ながら答案用紙を裏返して軽くあくびをした。昨日の夜、幼馴染の真子と二人で勉強していたヤマが見事に当たったのだ。全ての解答を仕上げて見直した後でも、時間が5分余った。  ―― ゴゴゴゴゴ ――  どこからか地響きが聞こえて来た。  まるで校舎がロボットになって動き出すかのように、縦揺れと横揺れが同時に教室を襲った。 「うわぁー!」  陽介やクラスメート達は、激しく揺れる教室の中で捕まる物を探すのに必死だった。机や椅子のように教室に固定されていないモノは右に左に激しく飛び回る。その中にいる人間はミキサーでかき混ぜられるようにぐしゃぐしゃに、かき混ぜられていく。    ――   『それ』は、あっと言う間の出来事だった。  気が付くと陽介は、クラスメートが折り重なる塊りの一番上にあおむけになって倒れていた。制服はボロボロで、体中がずきずきと痛む。陽介がテストを受けていた教室は、4階建て校舎の3階だったはずなのに、陽介の目の前には学校のグラウンドが広がっていた。  グランドで体育の授業を受けていたであろう生徒たちがこちらを見て唖然としていた。 「そうだ、真子は? あいつはどうなった」  同級生の真子は隣のクラスで試験を受けていたはずだった。
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