七夕の日

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あー、そっか。やはりこの子たちの常識では体は触れてはいけないものなんだな。 良かった、俺。あの一瞬で良く判断したものだよな。 でもなー、我ながら情けないな。ダッサ。なんで正座したくらいで倒れるかなー。しかもめっちゃ体痛いな。 …ん?痛い? あれ?痛いか?痛みなんか感じてるか、俺? なにかがおかしいぞ。 こんなに考えられてるってことは生きてるとは思う。 が、今俺は痛みなど感じていない。あんなに勢い良く大きな音を出して倒れたのにもかかわらずだ。 とりあえず起きなきゃ、あの少女にも迷惑をかけているはず。早く元の場所に戻らなきゃ。 早く帰らなきゃ。 早く…帰らないと…みんな心配してる… 心配…してる…はず… 本当に…心配してるのか? もしかして俺、痛みを感じてないってことは死に際なのかも…? 俺って本当に必要? あー、別に目を覚めなくても、いっそこの場からもどこからもいなくなってもいいんじゃね? そんなふうな思考が巡り始めるともう自分を肯定することは出来なくなる。この世に自分を必要としてくれる人はいるのか、実は誰も俺のことなんか心配してないんじゃないか、俺はいらないのではないか。そうやって自分を否定し続けた。そうして色々考え巡って、思い出したことがひとつあった。 いや、俺、あの少女に迷惑かけてる。 とりあえず今は戻らないと、迷惑かけっぱなしだ。 あの子が倒れた後の俺に向かって一生懸命意識を確認しようと声掛けをしてくれていたのは薄れていく意識の中でしっかり認識していた。俺を今一番心配してくれているとしたらあの少女だ。だとしたら俺は今起きなければならない。 俺は自分の意識を目を覚ますことだけに集中させた。
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