七夕の日

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「いや、しかも母さんなんてさ、 【愛する我が子涼輔へ お誕生日おめでとう。すくすく育ってくれて嬉しく思うわ。毎年お祝い出来ずに本当に申し訳なく思って…】みたいに丁寧な母さんの言葉で長文のメッセージくれるのかなって思ってたらまさかの母さんと父さんで一つのメッセージ。ありえない、こんなこと前代未聞だよ。これで許されるとでも?なんで、え、これが俗にいう親離れってやつ?いやいや、そんなのまやかしだ、俺はまだ離れないからな。絶対、今日のことは全部夢だ。そうだよ、全部悪夢だ!こんな夢誰が信じるものか!!」 俺はそう吐き捨てて、息をゼエゼエ言わせた。 爆発によってあがった息を落ち着かせるために深呼吸を何度か繰り返す。 「ふぅ…なんか疲れたけどスッキリした。」 自分に何が起こったかは分からなかったが、ただ一つ俺自身こんなに思ったことを吐き出すのは生まれて初めてのことだった。 良くも悪くも主張するタイプでは無いし、自分で言うのもあれだが俺は協調性が物凄くあるタイプなので人の感情に共感しやすく、なので自分をだすことがない。 15歳の誕生日の日にまさかこんな初体験をするなんて思っても見なかった。よく言えたな、我ながら偉いぞ。 そうやって自分が吐き出したものに満足したのか、その日はいつも布団の中でするネットサーフィンをせずにそのまま眠りつくことができた。 
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