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「お待たせしました。いかがなさいますか?」
「ごめん、ねえちゃん。赤のデキャンタおかわりお願い」
「かしこまりました」
「あ、ごめん。あとモッツァレラのピザ追加してもらえる?」
「モッツァレラのピザですね。かしこまりました」
野太いおっさんの声と可愛らしくも丁寧なウエイトレスの声を聞きながら、9の赤い数字が点滅する表示版を眺めていた。
「よかったな」
「ここまでは順当だな」
「そうだろうな」
「ここからが勝負だろ」
笑みを浮かべるマコトを見ていると、俺も浮かべたくなった。
それから10分後、午後4時を回ろうとしていたときだった。
「ピンポーン」
運命の音を背に、傾き始めた太陽の日差しが店内を照らし始める。
「お待たせしました」
「あの、ブラインドを下げてもいいでしょうか」
本を置いて若い女性が立ち上がろうとする。
「けっこうですよ。あ、下げますね」
「すみません」
ウエイトレスの手の動きにあわせシュルシュルシュルという音が流れ、眩しすぎた店内はちょどよい明るさとなった。
「あの席が眩しくなるのわかってたのか」
7番と表示された表示板を見つめ、マコトは声だけを俺に向けてきた。
「この時間はあの席がいちばん太陽の光が入るからな」
「だてに週4で通っていないな」
「お前もだろ」
俺はマコトに先じてリーチとなったが、ヤツの目を見ると宿る炎は勢いを衰えるどころか勢いを増し、瞳に映る俺を飲み込もうとしていた。
快適な店内にも関わらずなぜか冷たい汗が流れた。
「俺がもうリー……」
「きゃあ!!!」
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