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店内に若い女性の悲鳴が響く。
声の方へ顔を向ける。
7番の席の若い女性が、5番のテーブルの通路側に座っている高齢の男性の椅子に寄りかかっていた。
テーブル上ではグラスからこぼれた赤い液体がじわじわと広がっている。
「大丈夫かな、お嬢さん」
「すす、すみません。」
「ピンポーン」
向かい側に座る高齢の女性がボタンを押したのを確認して、表示板に目を移す。
5の数字。
「どうなさいましたか?」
「ちょっとお茶をこぼしてもうてのう」
「すみません。トイレに行こうとした私が躓いたせいです……。服は大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃ。それより、おしぼりをもらえんかのう」
「かしこまりました。すぐに持ってまいります」
「ほんとに、すみません……」
「いいんじゃいいんじゃ。それより怪我がなくてよかったのう」
「ほんにのう」
三人のやりとりを見ていると、マコトが言った。
「悪かったかなあ」
マコトの方を振り向く。目はどこかうつろげだ。
「何が?」
「いや、何でも」そう言って目を伏せるマコト。
……何かがおかしい。
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