チケット

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「先生、コレあげる。好きでしょ?」 師長が、紙切れをヒラヒラさせながらやってきた 急患の処置も一段落し ナースステーションの片隅で一息入れている 「ナゴド?お!ヤクルト戦じゃん、いいの?」 「野暮用で行けなくなっちゃったから。あたしも貰ったものだから、お気になさらず」 (ウィンク付き) この救命救急センターに来た時からお世話になってる看護師長 ちょっとふくよかでお母さん的な感じだけど そんなこと言ったら『そんな歳じゃない』って 絶対怒られるな 「じゃ、遠慮なく。って、明日?2枚あるけど」 ん〜 「えっとぉ〜後藤さん、だっけ」 「あ、はい」 いきなり名前を呼ばれて 驚いた様子で 記入してたカルテから顔をあげる つい先日、血液内科から救命へやってきたばかりの看護師さん 「明日の勤務なに?遅出?」 「あ、いえ休みです」 準夜勤の翌日は、たいてい遅出か休みだ 遅出だと間に合わないだろう 「良かった!野球観に行こ!  あ、なんか予定ある?」 「あ、いえ、特になにもないですが  野球、よくわからない...」 「大丈夫!教えるから」
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