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夕日が沈む頃合で神風 唯斗は、雨之 晴也と別れる。別れると言っても今後も恋人を続けるつもりだ。違う意味での“ 別れ ”である。
お互いに一緒の通り道まで歩いていると、別れの分岐点がやってきた。二人で駄べりながら歩けば、こんなにも時間が過ぎるのは近いのか。
唯斗は、数十センチも身長が高い晴也を見上げた。晴也と離れるのが恋しかった。寂しさに浸ってしまう。
ぐしゃっと歪む唯斗の顔を見たのか、からかうようにこう言われる。
「今日は離れても大丈夫か?」と。
「大丈夫だよ、サヨナラ!!」
わざと晴也が意地悪な質問をした上に高笑いをした。腹を抱えながら笑う晴也に頬を膨らます唯斗。素直になれなくて平気なフリをした。
唯斗は乱暴なサヨナラを言い返したのだ。
「じゃあな」
ふーん、と僅かな不満を見せながらも手を振る晴也。背中合わせで二人とも違う方向へと帰っていく。
何で晴也が意地悪な質問をするようになったのか。その理由は、遡れば夏頃の出来事になる。
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