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カフェの後は二人で海へと行き、夏の最後を味わう。
塩水のような匂いがする波。幾度となく波が流れ、裸足になった二人。波を追いかけるように走り出す。
水しぶきを感じながら足で水を蹴った唯斗。
手の勢いで唯斗に向かい水を飛ばす晴也。
海で遊んでいると辺りは夕日が落ちそうになっていた。
「帰ろっか」
「うん」
晴也が家へと帰るように言うと頷く唯斗。
海辺とはお別れをして電車に乗り、お互いの最寄り駅まで座り続けた。肩同士が当たりながら一日のことを振り返る。
今日のことで二人の思い出に浸っていた唯斗。
最寄り駅に着くと改札口を通り過ぎる。二人で夕日に逆らう方向に向かって歩いた。
今度、デートが出来るのは来月。夏から秋へと変わりつつある。
唯斗は次のデートを考えていた。晴也の合図で我に返ると、いつの間に別れの分岐点までやってきたみたいだ。
もう晴也とはお別れだ。晴也と離れてしまうのが寂しくて堪らない。繋ぎ止めていたくなる。
中々『サヨナラ』が言えない。
晴也がお別れの雰囲気を醸し出してくる。
これ以上は晴也に迷惑がかかるから、もう言わなきゃーーー
「サヨナラ、晴也」
笑顔になりきれず苦笑いをしてしまう唯斗。
「またな」
唯斗が別れの挨拶をすれば、晴也も挨拶を返す。最後に手を振った晴也。
唯斗は、あとを引くように行ってしまう晴也を見つめるのが辛かった。
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