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どうしよう、晴也が行ってしまう。
いても立っても居られない感情が込み上がってくる。感情が背中を押すように晴也を追いかけ、走り出す唯斗。
「はぁ、はぁ」
息を切らしながら呼吸もままならない。運動音痴のクセに、遠くへ行く晴也に追いつきたくて走り続けるのだ。
やっと手を伸ばせば届く距離になり、ダイブする形で晴也の背中を抱き締めた。
「はぁ、はぁ・・・・・・まだサヨナラしたくない」
晴也の身体を感じつつ呼吸を整えた。唯斗の腕の中に晴也が居るという安心感が湧き上がる。
今ならば、晴也への寂しさで素直な気持ちが言えた。
急に抱き締められて驚くも相手が唯斗だと分かった晴也。唯斗の気持ちを知り、身体ごと受け止める。
公共の場でありながらも、あっさりと自ら破る唯斗。
この場で抱き締めたことを晴也にツッコまれてしまい、目を逸らす唯斗。
今は良いの! なんて自分の都合が良いことを言い出した。
我慢より愛情が大分、上なのだから仕方がない。唯斗から愛情を与えられた晴也が調子を乗り始める。
また意地悪なことを言うのだろう。
『じゃあね、と振り返るボク。そばに居て』
END
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