死ぬ前にカレーを食べたひと夏の思い出

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 それから一週間。私は今まで通り生きた。  課題は相変わらずあったし、ドラマはいよいよ佳境を向かえる。特にいいこともなかったし、特に悪いこともなかった。だけど生きた。生ききった。そして考えた。  多分私が死んでも課題はあるし、ドラマは最終回を向かえて次のドラマに移る。友達は悲しんでくれるかもしれないけど、きっと2年もしたら完璧に私のことは忘れてしまうんだろう。私が生きてても死んでても、大して世界は変わらない。  それなら、生きるのが虚無でも死ぬのは損だ。だって私が死んでも、その死は消化されるだけだから。私が私を生ききって、それで死ぬ方がまだ得だ。  そんなわけで自殺旅行を終えた私だが、ひとつ変わったことがある。  それが冒頭のカレーだ。あれ以来、また死にたくなったらカレーを食べるようにしている。本当につらいときはお兄さんに電話をかけて一緒に食べる。私の死を止めたのだから、一ヶ月に何回か呼びつける権利はあるはずだ。  「よう姉ちゃん、今日も生きてる?」  「こんにちはお兄さん。生きてます。」  そんな挨拶を交わして、私たちはカレーを食べる。一生の終わりになるはずだったひと夏の思い出を思い返しながら。
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