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ある日の夕方ー 「今まで、ありがとうございました。」 「こちらこそ、ありがとうございました。」 駐車場で、握手を交わした。 「あ~やっぱり、ダメだ。」 「え?」 「泣きそうなの、がまんするってツラいんだけど。」 「え?」 「佐島さんの前だと、どうしても気が緩んでしまうんですよ。」 涙を流しながら、オレを見つめてきた。 「佐島さん、好きです。ありがとうございました。」 いきなり、抱きつかれてびっくりした。 「5分だけ、このままで居させてください。」 何も言えなかった。 5分が経って離れようとした時、目が合った。 「あと5分。」 オレは、抱きしめ返した。 「え?」 「八嶋さん、好きです。」 「え?」 せっかく泣き止んだのに、また涙を流した。 「泣かないで?」 オレは顔を近づけ、彼女の唇を塞いだ。 あと5分。 いや、ずっとこのままが良い。
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