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「わたし、ミキっていいます!ゆうことは学生時代からの友達でずっと仲良しです。よろしくお願いします」
とゆうこちゃんの友達が言ってくれた。感じの良さそうな子である。
「ミキちゃんですね。よろしくお願いします。そして、えーっと…」
オレは、自称昔はモテていたという問題女性を見る。しかし、その女性はこちらを見もしない。
「あのー…」
もう一度言いかけた時である。
「さっき紹介したから、そちらの男性陣から私の情報聞いてもらえる?」
こちらを見ないまま、吐き捨てるように言う。これは、想像以上かもしれない。
『なぜ、あなた達のような下級生物に私が2度も名を名乗らなければいけないの。冗談じゃないわ』
実際に口にした訳ではないが、その女性の体全体がそう言っていた。この段階で早くもオレのセンサーは、この女と関わらない方がいい!と告げていた。
「あ、そうですよね。一回言ってもらってますもんね。すみません。えと、じゃあ…」
田島さんと山崎を交互に見た。しかし、2人とも申し訳なさそうにこちらを見るだけで、言葉を発する気配がない。その瞬間、オレは悟った。
この人達は、名前をはじめ、問題女性に関する情報を何一つ覚えていない。と。
2人ともはっきりした性格で興味のないものに対してはとことん興味がない。そして、2人とも自称昔はモテていたという問題女性に対し、興味を持つはずがなかった。そしておそらく、オレがその場にいたとしても同じように忘れているだろう。
場の空気を察して、ミキちゃんがその女性の名前を紹介しようとすると、物凄い形相でその女がミキちゃんを睨んだ。
『この男どもに言わせなさい。もし、この私の名前を忘れているようなことがあったら、そんなこと許されるはずがないでしょう。あなたは、何一つ話してはいけません』
その目はミキちゃんにそう言っていた。ミキちゃんもそれを察して固まってしまった。
これでは、埒が明かない。
そう思ったオレは、もう一度トライしてみた。
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