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モノトーン
十一年前。
君といた日々はたくさんの色に満ちていた。
色鮮やかに染まる世界が確かにそこにはあった。
流されるように生きてきた代償に世界は色を奪った。
生きていく上で選択の誤りというのは大なり小なりあるだろう。
ただ僕は、三十一年という短い人生を振り返った時
その全ての選択を間違ってきたのだと思う。
今となっては正解だと胸を張って言える選択肢があるものの
それはきっと今、悔やんでも悔やみきれない念を何十年も抱え続けているからだ。
思い出は美化されるとはいうものの、世界をカラフルにしてくれたものは僕の一生涯のうちには二度となかった。
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