1文字違いの I LOVE YOU

4/5
40人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
 心の中で3秒数えても、ノートが返ってこない。 (……やらかした。変な奴だと思われた。寒いダジャレ野郎って思われた。  遠回しすぎて伝わらないとか、意味ないじゃん! 俺のバカ! アホ!  もう嫌だ、石になりたい。グラウンドの砂になりたい。消えていなくなりた)  僕が頭を(かか)えようとした矢先。  カチッ、とボールペンをノックする音が聞こえ。  ノートに顔を(うず)めた彼女が、赤いボールペンで書き始める。 (赤字で書くのって……嫌いかぁ……ハハ……)  僕は大きな溜息をつく。 (リア(じゅう)って言葉が良くなかったよな……ネットスラングだし……。  ずっと好きでしたって。キミが好きですって。ちゃんと言葉にしなきゃ、伝わらないじゃんか。俺のバーカ、アーホ、アンポンターン……)  パサッ。  視界に、閉じられたノートが飛びこむ。  亀よりも(のろ)い動きで、僕がノートを開くと。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!