第2章-1 隠していた事実

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 やっぱり賢二はおかしい。 もっと大切な何かを、隠している気がする。 それは裕美に言えない事。  言ってはいけない事。 口に出して言ってしまえば、関係が壊れるような事。 そんな気さえした。  普通に考えてそんな大切なことは、つき合う前に言わなければいけないんじゃないだろうか? 完全に裕美を騙して付き合っていた事実に、無性に腹が立った。  裕美の心の優しさ、純粋さにつけ込むような真似をした賢二に強い憎悪を感じた。 この時から、俺の中で賢二の事が凄く嫌いになった。 そして俺の中で、信用のならない男としての烙印が押された。  賢二の言葉を聞いて、最初は驚いていた裕美も、「その日だけは子供に寂しい想いをさせない為に祝ってあげたい・・・その言葉にうたれたのか」 うん、わかった。記念日は子供のそばにいてあげて!もっと早く言ってくれればよかったのに。」そう言っていた。  裕美全然大丈夫じゃないくせに。 バツイチだった事、子供がいた事に、絶対ショックを受けているし、完全には受け入れられていないはずなのに、明るく振舞ってあまり相手を責めようとしない。  裕美そんな優しさなんていらない。 自分が傷つくだけだよ。 お前そんな強くないだろ?! 悔しいけれど、裕美は完全に賢二に惚れている。  賢二が帰った後、裕美はひどく落ち込んでいた。 さっきの明るさが嘘のように。リビングの隅に、ぽつりと小さくなって座り、両腕で膝を抱きしめるように、自分の膝をぼーっと見つめている。  すぐそばにいって寄り添った。 こういう時に、抱きしめてあげられない自分が情けなかった。
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