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泣いていられないと思い無造作に涙をぬぐう。
それでも涙は止まらなかった。
もう過ぎ去った事なのに、どうしてもありえない事を想像してしまう。
なんでこんな事になってしまったのだろう?
タイミングが少しずれていたら、あの場に行っていなければ、こんな事にはなっていなかった。
そう思うけれど、運命はそう簡単に変える事を許さない。
だから、私が生まれた時に、この運命は決まっていたんだとも思う。
でも人は考える事ができるので、もしを考えてしまう。
それは現実を受け止められないでいるからだと思う。
なんで亡くなったのに、この世界にいるのかはわからない。
私の存在はこの世界に意味があるのだろうか?
ただ未練が残り、彷徨ってしまっているだけなんだろうか?
神様は残酷な事をすると思う。
こうなったけど誰も恨んでいないし、裕美と恋愛できてとても幸せだった。
その時間だけでも生きていてよかったと思う。
何もなく死んでしまう人生より少し華やかだったから。
生きてく上でパートナーがいるのといないのとでは幸せの感じ方が違ってくる。
寂しさを埋めてくれる。
お互いの足りない所を補ってくれる存在がいた。
だからそれだけ幸せだったんだと思う。
この幸せがもっと長く続くと思っていた。
そういう意味では亡くなった事は残酷な気だ。
ただこれが運命だとしたら、いつかは受け入れなければいけないとは思う。
空を眺め、何も話さない空に語りかける。
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