19人が本棚に入れています
本棚に追加
裕美がこんなにも俺の事を想ってくれていたと思うと、胸がジーンと熱くなり、愛されていた事を実感する。
生きている時にはあまり感じなかった。
感じていなかっただけなのかもしれない。
裕美との色々な思い出が頭によぎる。
学生時代の事、二人で言った遊園地や旅行、色々なところに行って、裕美と見た景色。
あの時の裕美の横顔はホントに綺麗だった。
人は失って初めて大切な存在に気付くというけれど、私の事をホントに大切に想っていて、今さらながらその事に気付き、心から感謝の気持ちで一杯になった。
同時にこれからの未来を幸せにできなくて、申し訳ない気持ちになる。
男としては、大切な人を守れない時ほど情けなさを感じる事はないと思う。
私が亡くなっても、この世界に留まっているのは、ただ単純にまだ魂が解放されなくて天へいけないのか、すさまじい未練が残っているのかはよくわからない。
確かに裕美の事はまだ好きだし、この世界に未練がないっていったら嘘になる。
ただそれは生きていた時の未練であって、亡くなってからの未練ではないような気がする。
だから魂が残るほどの未練があるかと言えば、そこまでではなくて、むしろ亡くなった普通の人と変わらない位じゃないかと思う。
でも、実際には本人が自覚してないだけで、この世界に恐ろしいほどの未練、執着があるのかもしれない。
そう思うと、人間っていうのは恐ろしい生き物のような気がする。
最初のコメントを投稿しよう!