第1章 大切な人

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 心境の変化があったのは、自分が亡くなって半年位経った頃だったと思う。 少しずつ出会いの場に出歩くようになっていった。  化粧もするようになったし、服装も気にかけるようになった。 前向きになってくれて嬉しいけど、今度は、彼女が悪い男に引っ掛かりはしないか心配で、まだ見守っていたいと思う。  彼女がいいなと思う男性を見ていると、あの子は男を見る目があるのだろうか? と思ってしまう。 俺とは真逆な感じの人を選んでいる。 俺への当てつけだろうか!  顔が好くて、見た目が少し派手な感じの人を選ぶ。 そして、俺より大人な魅力のある男性に惹かれるみたいだ。  顔がいいといっても、俺だって若い時はイケメンと言われたほどだ・・・ 近所のおばちゃん達に。 母親とよく行っていた野菜屋さんに・・・  まぁ、ようするに私はどこにでもいる素朴な青年の顔をしている。 真面目な素朴な青年ほどいい男はいないだろうと、自分で自画自賛しているのだが・・・  裕美が選ぶ男性の傾向を見ていると、俺の顔は裕美のタイプではないという事がわかり、少し落ち込む。 男は外見より中身だ! そう自分を鼓舞してみるが、あまり自分へのフォローにはならなかった。  色男ほど引っかかってはいけない! と僻んでいる俺には、裕美の選ぶ男性に対して、その男はダメだよって言っているのに、彼女は気に入ってしまう。
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