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「うん。ある程度の話は凛くんから聞いてるよ。でもまぁ外でするような話じゃないし、とりあえず中にお入りよ。凛くんにコーヒーでも淹れて貰おう」
少し考えれば当たり前のことなのに、店の中に凛介が居るのだとわかってホッとする。いくらか緊張が解けたところで、あたしは手招きに従って店の中に入ることにした。
「ああ、そうだ。面倒だし先に自己紹介を済ませておこうか」
と、先に店の戸を潜った女性が思い出したように振り返った。
趣のある店の外見に女性の袴姿が凄く映えていて。
その光景はどこか現実離れしていて。
思わずあたしも足を止めて――見蕩れてしまう。
それから彼女は左手を胸に当てながら、
「私は浦面摩子。この店の店主だよ」
これがあたしと浦面摩子さんの――出会い方だけはなんてことのない――ファーストコンタクトだった。
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