【本日の御予約】 紫乃原みちる 様 ③

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「それじゃみちるちゃん。改めて確認させてもらうけど、キミの悩みは〝物がなくなる〟って事で間違いないかな?」  凛介が前もって話していたのだろう。  あたしとしては、はとっくに諦めてしまった事であり、もはや悩みとして認識していないのだが――わざわざ訂正する必要も感じなかったので「はい」と頷くことにした。 「なくなった物があとになって見つかったことはある?」 「ありません」 「それはいつ頃から始まったのか覚えてる?」 「意識するようになったのは高校に入ってから、だったと思います」 「最近はどんな物がなくなった?」 「文房具とか、髪留めとか。ほかには上下セットで買った下着のブラだけがなくなってたり、あとはアクセサリーが……」  凛介から初めて貰ったプレゼントをアクセサリーの一言で。  そこに深い意味は、特にない。 「そして今朝は掛布団が消えた、と」  あたしが頷くと、あらかた聞きたいことは済んだのか、浦面さんは背もたれに深く身体を預けた。  その姿はどことなく推理を終えた探偵を連想させる。  そしてそれこそ探偵の如く「単刀直入に言おうか――」なんて前置きを挟んでから、袴姿の美女はあたしにこう言い放った。   「それは〝あやかし〟の仕業だよ」
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