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「おめでとう良かったじゃーん! アサヒ、ちゃんと好きって言ってくれた? 付き合ってくださいって?」
「……………いや、好きとか付き合おうとかは言われてなくて」
「おまえら何してんだよおおおお」
「えっと、だ、大丈夫!」
「何が!?」
「冬はお客さん減るから、どこかで一度、まとまった休みが欲しいって。アサヒが働き先の民宿の従弟さんに交渉したの」
「へぇー……???」
何がどう大丈夫か、さーっぱりわからん。
玲奈とアサヒが互いに好き合っているのはわかる。
というか高校の頃から、本人たちはどう思っていようと、この子たちのグダグダっぷりは周知の事実だ。
しかしだ。
今、大事なのは、結局きみらは、ちゃんと付き合ってるの? ねえ、その辺マジでどうなの?
あのさあ、と切り出す前に、玲奈が嬉しそうに話を続けた。
「こっちで遊べる時間作ってくれたんだ。従弟の知り合いの家に泊めて貰えそうって。とりあえず、遊ぶ日は決めたし。わたしもさ、ちゃんとアサヒにぎゅってしたし」
スマホから延々と続く玲奈の「大丈夫」を聞くうちに、こいつの「大丈夫」はある意味大丈夫なんだろうけれど、違う意味で全くもって大丈夫じゃないやつだった、と改めて思い知らされた気になった。
*
「──っていう電話があったんだけど。いろは、あいつらどう思う?」
「これは最早、案件ね」
スマホの向こうで、涼しげないろはの声が響いた。
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