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2 私の先生
「名前を読んだ人は残るように」
小学生の真美子は漢字のテストの成績が悪かったので居残りをさせられてしまった。
「あなたは、間違えた字だけ直してください。あ?真美子さんは漢字の書き取りです」
「……はい」
真美子だけ全部の漢字を書き直されていた。もうすぐ定年を迎える女教師の山田は真美子だけに厳しかった。
「先生。できました」
「どれ……ダメね。ここはちゃんと跳ねないと。そしてこっちの文字は読めないわ。やり直しです」
「はい」
こうして真美子は今日も一人5時まで残されてしまった。こんな彼女はランドセルを背負い夕暮れ道を歩いていると、すでに帰宅して外で遊んでいた男子にからかわれてしまった。
悲しい気分で家に帰った彼だったが夜の仕事の母は不在であった。
一人卓上にあったおにぎりを食べ、テレビを友達に今夜も一人の夜を過ごすのだった。
こんな真美子は学校の役員や日曜日のボランティアも山田にいわれてやらされていた。
友人達は家族と遊んでいる時間。真美子は地域の行事や学校の手伝いをして過ごしていた。
真美子をこき使う山田が真美子は嫌いだった。真美子が髪を伸ばしたいと言った時も、自分で髪をうまく結べない娘は伸ばす資格はないと言い、保健室で切ってしまった。
スカートを履いてみたいと真美子が話しても運動するのだからと山田はどこからかお下がりを持ってきて彼女に履かせた。
友人達が華やかにしている少女時代。真美子はジャージ姿の短い髪であり、日焼けして男の子のようだった。
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