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「どうしてそうなるんだよ」
「知らないの?今、被害が急増しているのよ」
確かにエンジェルを休ませるつもりだった彼はそう言う設定にして休みに入った。
この日を境にDV被害が減ったため、彼は政府関係者から他の相談も受けた。
「ええ?国交のない国ですよ」
「良いんだ。エンジェルがそこに行って交流したことにしてくれないか」
外交にまで利用されるようになったエンジェル。創設者の彼はドライな気持ちで活動していたが、だんだん歳をとってきた。彼はエンジェルを引き継いでくれる者を考えるようになっていた。
息子もいたが彼の思想と合うとは思えなかった。
「エンジェル。お前はどうしたいんだ」
『……マスター。泣かないで』
人工知能にしたエンジェルは、自分の意見を述べてきた。
『私は歳を取りました。世代交代。他のキャラクターにするべきです』
「お前はどうするんだ」
『死んだ夫のそばに行きたい』
エンジェルは亡くなった実業家の名を口にした。これには創設者は驚いた。
「お前は……覚えていたいたのか」
『はい。初恋の人です』
確かにそう言う設定だった。思いに狂いのない彼女に創設者は頭に血が上っていた。
「あんな、男に……お前と言うやつは」
『マスター』
「私はあいつよりも。こんなにお前に尽くしたのに……許せん」
血迷った創設者は、エンジェルが酷い目に遭い、苦しみながら死ぬ様子をネットにあげてやった。そして自死した。
「皆さん。ネットの誹謗中傷について勉強しましょう」
「俺知ってる。言論の自由だろ」
生徒の声に教師は微笑んだ。
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