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死んだ指が語る。
そう書き始めて、ここでは何が起こっているのか、パソコンとわたしの眼のあいだにある、特殊な層で起こっている戦いに畏怖を覚える。
死んだ指。死んだ指なら語ることなどできないだろう、それとも死んだ指だからこそ語れる暗喩じみたなにかがあるのかしら。そして、わたし。わたしとは本来のわたしとはもちろん違う。小説内のわたしだからだ。
さっきの層で起きている、わたし対言葉の戦い。なぜこれが戦いなのか。和平でもよいのではないかと思うけど、七瀬玲さんにはそう教わった。
「君と世界の戦いでは世界に支援せよ」そう書き付けたフランツ・カフカの
言葉を思い出す。
わたしと小説の戦いでは──小説を支援すべきだ。
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