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22時になり、デニムのままシェヘラは、王の寝室へ入った。
ベッド脇のソファに座り、本を読んでいた王が、顔を上げた。こちらはガウン姿である。
恐ろしい性癖がある以外は、シャハリヤール王は普通の中年男に見える。
「シェヘラザード。今夜はずいぶん顔色が悪いが、どうかしたか」
「いいえ、大丈夫ですわ。王様、お気遣いありがとうございます」
こんな優しい言葉をくれたりする。顔や体つきだって、そう悪くは無い。
おかしな性癖さえ無ければ、ね。
シェヘラはいつものように王の横に座り、物語を、語り始めた。
「……と、いう訳で、今夜の話は、これでおしまいです」
王は、何だか変な顔をしている。
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